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「卒業トイレ掃除」

 少し前、ニュースで横浜市の小学校のトイレ掃除復活がとりあげられていた。
「へえー、トイレ掃除なかったのか」と驚いた。
私の小学生時代は当番で皆が掃除していた。
それも水洗ではない20ぐらい並んだ昔のトイレ掃除は大変だった。

 そのトイレ掃除には、忘れられない小学時代の思い出がある。
当時、私は自分の小学校が大好きだった。
卒業した春休みのある日、友達と二人で小学校に遊びに行った私たちは、
大好きな学校のために何か御礼がしたくて、その20も並んだ汚いトイレを
ぴかぴかに掃除して帰った。
お世話になった先生にも喜んでもらいたかった。

 新学期が始まった全校朝礼の場で、私たちがトイレ掃除をしたことが校長
先生から皆に報告されたと、在校していた妹から聞いた。
もちろん校長先生から手紙もいただいた。喜んでほしいと思ったことを何倍
にも表現してくれた校長先生のお陰で、卒業して30年以上経つ今でも私の
心の中ではその「卒業トイレ掃除」は誇りである。

 トイレ掃除には特別な意味があると思う。
全国に広がっている「掃除に学ぶ会」は、トイレ掃除を通して、謙虚な人に
なれる、気づく人になれる、感動の心をはぐくむ、感謝の心が芽生える、心
を磨く、の5つの利点をあげている。人の嫌がるトイレ掃除だからこそ感動も
気づきも得ることが出来るというものだ。

 ところでインターネットで、奈良学園の2006年生徒会が、公約でトイレ掃除
を掲げ、3日間で全校のトイレ掃除を終えた報告を見た。
一番嫌なトイレ掃除を公約に掲げた生徒会。予想以上につらい掃除だったが
毎日有志が何人も手伝ってくれたこと、最後は感謝と意識改革が出来た話で
締めくくられていた。

 トイレ掃除で学ぶことはたくさんある。
ぜひ子どもたちにこの貴重な経験をしてほしいものだ。 

yomiっこ 2009年02月号より抜粋】

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