2008年09月24日

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

▲明日香村 (9月22日) ▲吉野町 (9月23日)
▲橿原市 (9月24日) ▲橿原市 (9月24日)
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)は、サンスクリット語で天界に咲く花という意味で、吉事のきざし(吉兆)に赤い花が天から降ってくるという、仏教の経典からきている。
正式名称を彼岸花(ひがんばな)、ヒガンバナ科の多年草で、クロンキスト体系ではユリ科に属する。
日本には、稲作の伝来時に中国か朝鮮半島から土とともに混ざり、それが偶然に広まった帰化植物であるといわれる。
しかし、有毒性を持つ彼岸花をあえて持ち込み、土に穴を掘る小動物を避けるため、あぜや土手に植えたとも考えられ、群生していることから実用性のために、あえて植えた可能性が高い。
一番に思い出すのは、山口百恵の歌の『曼珠沙華』。
「まんじゅしゃか」と歌っていたので、この漢字を「まんじゅしゃか」と最近までそう読んでいたが、それは間違いで正式には「まんじゅしゃげ」。
これは、作詞した阿木曜子のイタズラか、あるいは歌詞としての語呂合わせかは分からない。 なおサンスクリット語では manjusaka と書く。
万葉集では “いちしの花” を彼岸花とする説がある。
「路の辺の 壱師の花の 灼然く 人皆知りぬ 我が恋妻は」 【巻11−2480】
(みちのべの いちしのはなの いちしろく ひとみなしりぬ わがこひづまは)
俳句では秋の季語。
「つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華」 【山口誓子】
花言葉は「悲しい思い出」、「想うはあなた一人」、「また会う日を楽しみに」。
日本で彼岸花の別名は、方言を含めて千以上あるのではないかといわれる。
死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、剃刀花(かみそりばな)など異名が多く、不吉であると忌み嫌われてきた感がある。
有毒な球根性植物である彼岸花は、モグラやネズミなどから土葬した墓地を守るためによく植えられ、墓地に咲くことから死人花と呼んだためか。
あるいは毒々しい赤色が、紫を高貴とする古代の日本人の色彩感覚に合わなかったためか。
この赤い花を、綺麗とみるか、あるいは不気味とみるか、それは単に感覚の違いとしかいいようがないような気もする。
秋の彼岸頃に開花することから彼岸花と呼ばれるが、開花期間が一週間ほどの花が、見事に彼岸の時に群生をなして咲き誇る様は、見事な遺伝子のプログラムともいえる。
なお、彼岸花が二日間続いたが、少年隊の 『デカメロン伝説』 的に言うならば、
「ちっちゃいことは きにすんな それ わかちこ わかちこ」
と云わざるをえない。
奈良っこスタッフ/アオキプラッタ。

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