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インターネットとうまいもん

 休日に夫婦で食事に出かけた店で、
偶然隣にすわったカップルが島根から旅行で奈良に来ていることを知った。
常連客の多いこの店をどうやって知ったのかと尋ねると
「ネットで見ました」と差し出したのは、
なんと弊社のウェブサイト「奈良っこ」のページ。
この店のほかにも数店プリントアウトして持っていて、翌日、他店に行くそうだ。

 聞くと、奈良に2泊するとのこと。
インターネットというのは本と違って、どこの地域の誰が見てくれているか
見当がつかない。
毎日のアクセスカウント数によって
今日は何人が見てくれたんだなあとわかるのだが、
何か紙媒体よりも手ごたえを感じにくい面がある。
それが島根の人がアクセスして奈良に2泊もしてくれると知り、
遠くの人を瞬時につなぐインターネットの良さを改めて実感した。

さらにそのカップル、
店が本当に美味しくて来てよかったと大満足していただいた。
この店の記事を書いたのは実は私であり、二重の喜びだった。

 こうした仕事をしていると、
本当に美味しい店って、何だろうとよく思う。
それを決定づけるのは決して味だけではない。
もちろん店の内装や雰囲気もあるだろうが、
いくらいい食材を使っていい料理を出して内装がよくても、
何か物足りなかったりする。
それはやはりサービス、つまりおもてなしにつきるだろう。

親しみのある店員さんや常連さんとの会話が弾むことで、
美味しいものがより美味しく感じたりすることもある。
そういった居心地のいい空間が出来て初めて
「美味しい」と言えるのではないだろうか。

味だけでなく、そんなおもてなしもしっかり
yomiっこの紙面やウェブサイトで伝えていかなくちゃ。
「奈良にうまいもんあり」と言われるために。

yomiっこ 2008年12月号より抜粋】

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