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第69回正倉院展 奈良国立博物館
平成29年10月28日(土)~11月13日(月)
全17日間、会期中無休

出陳宝物紹介

 聖武天皇ゆかりの北倉から、記念切手にも採用されたことで有名な「羊木臈纈屛風」が10年ぶりに出陳。
日本で作られたことが確実視されている品だ。
また、初出陳の「伎楽面 迦楼羅」など、インドやペルシアに起源を持つとされる楽器や面、器など、
異国情緒溢れる宝物も多く、各地に源流を持つ文化が結集し花開いた、国際色豊かな天平文化が偲ばれる。

羊木臈纈屛風

▲羊木臈纈屛風(ひつじきろうけちのびょうぶ)

ろうけつ染めの屛風

 蠟を表面に塗布することで防染する「ろうけつ染め」の技法で、樹下に佇む羊を大きく表した屛風。記念切手にも採用された本品は、異国情緒を伝える宝物として、一連の作とみられる「象木臈纈屛風」と共に名高い。

木画螺鈿双六局

▲木画螺鈿双六局(もくがらでんのすごろくきょく)

随所に技巧が冴える遊戯の盤

 ボードゲームに使用された、象牙や水晶などが施された装飾も華やかな盤。双六局の名称が付くが、中央に向かい蒲鉾状に湾曲するその形状から、弾棋に用いられたのではないかと推測されている。

琥碧誦数

▲琥碧誦数(こはくのじゅず)

こはくの念珠

 119個の通珠は琥碧製、母珠は大きめの真珠製で、その両脇には瑪瑙製の珠が配された華やかな念珠。本品には漆皮製の亀甲形の収納箱が附属しており、蓋表の貼紙に記された墨書より、東大寺大仏開眼会に際し献納されたものであることが推測される。

玉尺八

▲玉尺八(ぎょくのしゃくはち)

石製の縦笛

 聖武天皇ご遺愛の尺八。玉と呼ばれているが、材質調査で大理石製と鑑定されている。尺八は本来竹製だが、本品は大理石を用いながらも3節の竹管を忠実に模しており、表面に縦の削り痕を遺しているのも竹の皮を意識した表現とみられる

槃龍背八角鏡

▲槃龍背八角鏡(ばんりゅうはいのはっかくきょう)

龍文様の鏡

 『国家珍宝帳』に、「八角鏡一面 重大六斤一分」と 記されるものに当たる、聖武天皇ご遺愛 の鏡。白銅製・鋳造で、天空を飛翔する龍の姿が表されたこの八花鏡は、中国鏡の成分比率と近いことから、唐からもたらされたものと考えられる。

金銅水瓶

▲金銅水瓶(こんどうのすいびょう)

金メッキの銅の水差し

 鳥頭形の注口が目をひく銅製鍍金の水瓶。鳥頭の鶏冠などの表現から、鳳凰を表しているものと思われる。高度で複雑な製作技法や、類品が知られていないエキゾチックな器形をした本品は、宝庫の金工品の中でも異色といえる。

伎楽面迦楼羅

▲伎楽面 迦楼羅(ぎがくめん かるら)

インド神話の霊鳥を模したとされる伎楽の面

 伎楽は百済の味摩之が中国・江南地方に学び、日本に伝えたとされる仮面舞踏劇。特に飛鳥時代から平安時代に寺院の法楽として盛んに行われた。本品は、鶏冠をつけ、先端に玉をくわえ尖ったくちばしを有する鳥貌から、古代インド神話の霊鳥・ガルーダを淵源とした面と推定される。

沈香把玳瑁鞘金銀荘刀子

▲沈香把玳瑁鞘金銀荘刀子
(じんこうのつかたいまいのさやきんぎんそうのとうす)

小 刀

 刀子は、紙を切ったり木簡を削ったりする文房具として、また腰から提げて腰回りを飾る装飾具としても用いられた。宝庫に67口の刀子が伝わる。本品は、鞘を玳瑁で飾った気品ある刀子。鞘口には唐草文を透彫し、鍍金を施している。

※上記内容は、『yomiっこ』2017年11月号から抜粋。イベントの情報は、2017年10月現在のもの。
 内容等は諸事情によって変更される場合があります。

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平成29年度 正倉院展ガイド
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