奈良っこトップページ > 特集ページ一覧 > お墓・お仏壇考

遠い昔から山や川、滝、木々など自然を畏れ敬ってきた日本の人々。仏教伝来以前から、人は死後に黄泉の国(神の国)へ行くという考えから先祖を神として大切に祀る習慣があった。その後、庶民は墓を持てなかった時代もあったが、先祖を供養し感謝する心は、形を変えながらも現代まで受け継がれてきた。
生活半径も広がり、家族形態も変わってきた現代では、墓に対する考え方も多様化している。本来の供養の場に加え、生きた証しとして記念碑的な考えも生まれているようだ。前回の終活シリーズ「お葬式考」同様、本来の意味を考え、家族や大切な人と「お墓」について話し合ってみよう。

お墓って? そもそもお墓はどういうものなのか。

・骨を納める場所

骨を納めるところ。自然(土)に戻す場所。最近では生きた証として、自分の人生や、故人の思い出を込めた、記念碑的要素のある個性的なお墓にする人もいるようだ。

・宗教的に供養する場所

仏教では(宗旨宗派により異なる)、故人を供養し、浄土に参られた先祖の徳を偲ぶという意味がある。また、神仏が融合する日本では近い先祖は仏様、遠い先祖は神様という意識があるようだ。

・精神的な癒やしの場所

遺骨があることから故人を身近に感じられる場所であり、家族はもちろん、親族や友人が、故人を失った悲しみを癒やす場所である。先祖が眠る非日常的な空間で死や自分と向き合い、今ある命に感謝する、残された人の心の寄り処でもある。

・ルーツを知る場所

お墓を建て、先祖を供養することによって、家族の連帯感が深まり、親は親らしく、子は子らしく家族の秩序も正されていく。また、親族と会うきっかけや、自分のルーツを知ることができる場所にもなる。

現代のお墓事情

近年、少子化、未婚化、経済不安など様々な問題で墓を維持できない家庭も増えてきている。
また、宗教離れ、家離れにより、供養の仕方や祀り方が伝えられず、扱いについて悩みを抱える人も多いようだ。


【1】ご縁のある人が守る

娘婿や、甥など縁のある人が守っていくケースも増えている。

※家の事情によって様々な解決法があるので、寺院や石材店に相談を


【2】寺院や霊園で供養

霊園や寺院で管理・供養してもらえて安心の永代供養墓。

高齢化が進み、定年後に親の墓を建てるケースも多く金銭的な負担が大きいのも悩み。子どもたちの負担にならないように、希望を伝えてその分の財産を残す人も増えている。

墓の引っ越し(改装・移転)も可能だが、手続き、費用共に負担が大きいので熟考を。ルーツの地としてお墓参りの旅もいいのでは。

お墓の選択肢

墓石を建てる

墓地から決める

民営墓地 公営墓地 寺院墓地
墓石の自由度 好きな墓石が選べる 基準がある場合も 制限がある場合も
墓石の購入先 石材店指定が多い 石材店は自由に選べる 石材店指定が多い
立地 郊外に多い 郊外に多い 街中に多い
その他 管理方法など霊園によって大きく異なるので
要チェック
原則として運営する自治体に居住していることが条件 宗派不問の場合も法要などはその寺の宗派でするところもある

※一般的なタイプでの比較。各条件は購入前に確認を


【墓地選びのポイント】

1 墓参りしやすい場所を選ぶ
 ・家族が墓を守っていくことが大切。交通アクセスや、駐車場、坂や階段の有無。
 ・入る人も、お参りする人も、気持ちの良い環境か。実際に見学に行こう。
2 管理・整備状況を見る
3 宗旨・宗派など規約を確認する

石材店から決める

霊園によっては石材店を指定されている。
「相談しやすい地元の石材店で」「デザインが好きだからここに頼みたい」という店があれば、まずそちらから相談し、提携している霊園を紹介してもらおう。

永代供養墓(合祀墓)

寺院や霊園、墓地の管理者が永代にわたり供養・管理する。

※3回忌~50回忌までといった規約がある(永久ではない)
※最近では檀家・宗旨を問わない寺院も増えている

個別墓石タイプ 合葬陵タイプ 納骨堂タイプ
個別墓石タイプ 合葬陵タイプ 納骨堂タイプ
墓を持たない

散骨や手元供養など墓を持たない人も。

《手元供養》
骨の一部を小さな骨壷に入れ家などで供養する。 ※墓も持ち、手元供養もするという人もいる

《散骨》
海や山に骨を撒く葬法。法律的には規制はないが、許可なく山や人の敷地に撒くことはできない。

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※上記内容は、『yomiっこ』2013年3月号から抜粋。情報は2013年2月現在のものです。