心と体 家族みんなに心地いい家

ストレスフリー 趣味を楽しむ放課後の音楽室

平城宮跡近く、竹林と田園風景が広がる静かな場所。サラサラという笹の葉擦れの音とともに楽しげな音が流れてくるのが、音楽が大好きな夫妻と3兄妹、2羽のインコが暮らす藤本邸だ。
建築現場に足を運び、家に詳しくなった二男S君(高1)の案内でお宅訪問。「健康で心豊かに過ごしたい」と、自然を楽しみ、趣味を楽しみたいと始まった家創り。リビングの大きな窓を全開にすると、デッキから竹林へと大きな空間が広がる。朝は鳥の声とともに起き、夜はモノクロの世界に笹の音を聞く。時には小さなお客さん(小動物)も顔を出すとか。キッチンでは料理好きのみんなが楽しめるようにと、収納スペースをたっぷり確保し、スライド式の作業台も作った。ここでは妻Kさんがパンをこね、長男S君(高2)が得意な料理を披露する。
リビングの奥に設けられた部屋には楽器が並び、3枚の襖を外せば18畳のホールとなる。「それでは今日のために練習しました『放課後の音楽室』です」と、父Kさんと長女Rちゃん(中1)がクラシックギターを、妻Kさんがチェロを持ち合奏してくれた。音楽室のある藤本家には、リビングの吹き抜けや土の壁・木の柱が音を響かせ、鳥たちも羽ばたく楽しい時間が流れていた。

朝日が差し込む寝室からの景色

温度とともにつながる空間に/温度バリアフリー

廊下を設けず、家全体の空気を循環させている。夏は大きな窓から風が通り抜けエアコン要らず。冬は家全体の温度差を無くすことで、それによる体の負担も少なく、暖房費も抑えられる。吹き抜けは、キッチンに居ながら2階に居る子どもたちの話し声が聞こえ、家族の仲もつなげている。

体のために空気のバリアフリー

体に優しいものをと料理の食材や、毎日使う洗剤などにも気を使うことばさん。「子どもたちには情報だけでなく、実際に見て触れてモノの本質を見極めてほしい」と願う。
そんな藤本家に使われた建材は、屋根や基礎・ガラスを除けば土に返る自然素材。家族の健康を第一に、塗料や接着剤・防腐剤に至るまで化学物質を使用せず、新築の嫌なにおいの無い家に。また、壁に使われた珪藻土や木は水分を呼吸し、温度や湿度を調整してくれる。雨の日でもサラッとした空気の中で過ごせ、楽器の音もクリアに響くとか。

放課後の音楽室

お父さんだけの空間 半個室でも"男の城"お父さん専用のスペース

書斎や趣味の部屋など、お父さん専用の空間があるとお父さんの在宅時間が長くなるという調査結果があります。時には一人で静かに本を読んだり、趣味の音楽を聴いたりと、”男の城“があると、家族の気配を感じながらも自分だけの時間が持てるというもの。歴然とした個室でなく、三方を仕切りで囲んだだけのスペースでも気持ちは違ってきます。
写真は、階段下のスペースに長い板を渡したもの。ほんの1畳あまりのスペースですが、お父さんにとっては、家族から独立した空間です。家族にとって頼りがいのあるお父さんの大きな背中。それを見せることは、お父さんの愛情と共に威厳を示すことでもあるようです。

階段下を有効活用。必要最小限、セミオープンの独立した空間

子どもたちが健康で成長するために なめても安全素材と成長に合わせて変化する間取り

子どもに限らず、健康に過ごすために家の素材も体に優しいものを選んでください。特に赤ちゃんは噛んだりなめたりします。直接触れるものには体に良い物を。また建材に含まれる化学物質によって、体調が悪くなることもあるので、防腐剤や塗料などにも注意が必要です。
間取りは子どもたちの成長とともに建具で間仕切れるように。そしてまた独立したときには1ルームに変更出来るように。また、お母さんがキッチンにいながらにして子どもの気配が感じられるような間取りがお薦めです。

小さい頃は広いフリースペースで思いっきり遊ぶ。

お母さんが過ごしやすいキッチンを

家に一番長く居るのは、お母さん。特に朝は、朝食やお弁当を作りながら洗濯をして、子どもやお父さんを起こして…と大忙し。間取りを考えるときはキッチンを中心に、お母さんの動くルート=動線を意識してください。小さなお子さんやお年寄りの居るご家庭なら、家族を見ながら調理が出来る「アイランド型キッチン」もお薦めですよ。また、お母さんがキッチンに居る時間は思うより長いもの。天窓か、風通しの良い大きな窓があれば、居心地も良くなり、日中の照明代節約にもなるはずです。
もう一つ、お母さんが大変なのが「家の片付け」。脱衣所と下着類をしまっておく場所、洗濯機と物干し場など、関連したものの配置に無理があると、どうしても「出しっぱなし」になってしまいます。「片付け上手は収納上手」。お母さんがゆとりを持って暮らせる家なら、家族の会話も増えて、明るい家庭になりますよ。

子どもたちが遊ぶ姿がよく見えるキッチン

おじいちゃんおばあちゃんが安全に

バリアフリーといえば、「手すりを付け、段差を無くす」と考えますが、高齢者の体を理解することが大切です。個人差もありますが筋力が衰え、体は重く、視野は狭く、視力も低下し、何でもない事が凄く恐く思えるものです。
手すりは上がり降り・平行移動の支えなど動作の目的別に太さが違い、付ける位置も重要です。また壁と同系色になると色が識別しにくいので、手すりや階段は色をつけるなどの配慮を。
段差を無くすことも大切ですが、元気な方にとっては筋力の低下になってしまいかねないので注意を。あえて段差があると認識できるくらいの高さにすることをお薦めします。また足腰の弱くなった高齢者にとっては床の生活より、椅子生活のほうが楽で安全です。畳のスペースはリビングよりも高く作り、立ったり座ったりがしやすい工夫も◎。あなたのおじいちゃんおばあちゃんのために素敵な椅子をプレゼントしてみては。

椅子が楽だけど、畳が落ち着くおじいちゃんおばあちゃんのために、座りやすい高さの畳スペース。

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※上記内容は、『yomiっこ』2011年6月号から抜粋。情報は2011年5月現在のものです。
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